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カッシング自伝 [書籍レビュー]

Peter Cushing: an Autobiography (自伝にはすでにちらほら触れておりますが、最初に読んだときの感想です)

カッシングの自伝、Peter Cushing: an Autobiography 、ちまちまと拾い読みしております。
じつはこれ、An AutographyとPast Forgettingという二冊の自伝を合本したものです。扉には「すべてを可能にしてくれた、最愛のヘレンへ」と献辞が。表紙にも奥様とのツーショット写真が使われています。・・・部分的にですが読んでみましたら、「すべてを可能にしてくれた」というのが比喩じゃありませんでした。支えるなんてもんじゃないです。もう圧倒されます。・・・そして、前に『恐怖の雪男』の音声解説で監督が言っていた「カッシングはテレビの生放送で演じるのを好んでいた」という話とは矛盾するエピソードが出てきました。

・・・1950年代のテレビはドラマも生放送だったそうで、おまけに数日後に「再放送」まであったんだそうです。つまりすっかり同じドラマをナマでもう一度演じるわけなんですね。
で、俳優さんの立場からすると、最初の放映が好評だと「再放送」のときに同じようにできるだろうかとプレッシャーがかかり、逆に最初の放映で不評を得た場合は、それをもう一度演じるのはこれまた精神的苦痛…というわけで、一回目と再放送の間の数日は「洗練された拷問みたいなもの」だったそうです。ちなみにこのチャプターの冒頭には
「テレビジョンてなんだか知ってる?」
「知らない。テレビジョンてなに?」
ツマミがついたピーター・カッシングさ!」
というジョークが載ってまして、まあそういう冗談が出るくらい出まくっていた、ということらしいです。

で、そのノイローゼ対策のために、奥様が主治医に頼んで、市場に出たばかりの薬を処方してもらったりしたそうなんですが効き目がなく、最終的に見つけた解決策というのが…なんと奥様にスタジオまで来てもらって、放映中コントロールルームにいてもらうこと。それで勇気が出たそうです。はあ…なんというか…か、かわいい…。(…もう三十代後半の話ですよ。「いい大人がナサケナイ!小学生かっ!?」…とは感じないのが、惚れた弱みです…(笑))

ちなみに医者に出してもらった薬はアンフェタミンだったそうで、「5錠飲んでも大して効かなかった」と奥様から電話で聞いた医者は「1錠で象が24時間失神してしまう薬」だと信じていたため、「それでまだ生きてるの!?」と聞き返したという愉快な(?)エピソードが書いてありました。お医者さんもよくわかってなかったんですね。ていうか、アンフェタミンてむしろ興奮系の覚醒剤では…???…とにかく効き目がなかったので薬に頼るのはやめたそうです。…効かなくてよかった!そのまま続けて薬物中毒になってたら、後年の美しい老け顔は拝めなかったかも…ていうか、ハマー映画にも出ることなく早死にして、五十年後に極東の腐女子が萌える機会なんて永遠になかったかも!(^ ^;)

とにかくヘレンさん、マネージャーの側面も良き母親の側面も…という感じのする、ほんとにありがたい奥様だったようです。今風の言い方で言うと「心が折れた」ときに勇気付けてくれた言葉(そういう手紙をたくさん書いてくれたそうです)を引用して紹介されています。…ああ、こんなことを言ってくれる人がそばにいたら、そりゃあがんばれるな、と心底思う言葉です。なんというか、浪速恋しぐれ的な湿った内助の功じゃなくて、すごく、すごく知的で力強いんです。甘やかすわけじゃなくて、言葉に凛とした説得力がある。この方がいなかったら、ほんとにのちのカッシングはなかったかもしれないな…と思いました。そして奥様は…素晴らしいけれど、ずいぶんムリもしたんだろうなあと、と思います。40代の写真が、もうおばあちゃんみたいな顔に見えます。「ムリをした人はエライ」という文脈は嫌いなので、いろいろ思うところがあります…。

…それはともかく、奥様が亡くなったときのことも具体的に、でも淡々と書かれています。こういう人を亡くしたのなら、その後カッシングが「いっきに老け込んだ」のもわかる気がします。「彼女が他界したときに自分の愛した人生も終わったので、この物語ではそれより後のことは書かないつもりだ」とAn Autographyのほうの冒頭にあります。当初は出版するつもりは無く、セラピーの一環として書いたものだそうです。

身近な理解者を得るのはすごく幸運なことですよね。うらやましい。でもうらやんでばかりもいられません。カッシングにしても、一番最初の始まりは、やはり逆境のなかで思い切って一人で動くこと、でした。俳優になってからも、いろんな事情でやむなく父親に金銭的援助を頼みに行き、「なぜまともな仕事を選ばなかった。お前はもうすぐ四十歳になるというのに敗残者だ」とか言われたり。(フランケンシュタインで初めて映画の主演をしたときって、もう44歳だったんですよね…)でもそういう経験や、けっこう精神的に脆い面を抱えて苦労した人だったのがわかって、人物としてリアリティーを感じましたし、親近感もわきました。ほんとに、「さも簡単にやってるように見える」ようになるまでに、どれだけの努力と時間が注がれていることか!

…読んだのはほんの一部なので、これからもちまちま読んでいきます。(インデックスがついてるので便利。とりあえずクリストファー・リーの出てくるところはすべてチェックしました。わりとあっさりと触れられていてちょっと残念?(笑))


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カッシング&リーの22本/"Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema" [書籍レビュー]

Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema: A Filmography of Their 22 Collaborations

(すでにこの本には触れておりますが、購入したばかりのときの感想です) 

 ピーター・カッシングクリストファー・リー共演作の解説本"Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema: A Filmography of Their 22 Collaborations" の感想です。といっても洋書なので、まだごく一部を拾い読みしただけですが・・・。

タイトル通り、お二人は22本の映画で共演したそうで、そのすべての映画に関するデータと、撮影中の逸話、メディアの批評などをまとめたものです。初めて見る写真もたくさんあって、目の保養です(笑)。カッシングとリーが寄稿した前書きもついています。カッシングは出版される前に亡くなったそうなんですが、原稿に目を通し、前書きを書く時間はあったようです。

写真を堪能したあとは、逸話として聞きかじっていた、「奥様の死で落ち込んでいたカッシングが『ホラー・エクスプレス』から降りようとしたのを、リーが引き留めた」という話のところを探して読みました。思ったほど萌えエピソードではなかったんですが(なにがあったと思ってたんだ!(笑))「カッシングの性分を知ったうえで、いくぶん強引に引っ張るリーと、繊細なカッシング」というキャラ通りの(?)エピソードでした。

『ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急“地獄”行(つくづくアレな邦題だ(笑))は、1972年にスペインで制作された映画で、カッシングとリー主演。シベリア横断鉄道を舞台にした、えらく壮大なSFファンタジー(?)+ゾンビ、というトンデモカルト映画です。テリー・サバラスも派手な役で出てます。(笑)

…スペイン入りしたカッシングは、空港で出迎えてホテルまで送ったプロデューサーに、「とても礼儀正しく、紳士的に」…「映画から降りて明日イギリスに帰りたい」、と言い出したそうです。理由は、最初にもらっていた脚本から書き換えられたものを見て、気が変わったということなのですが・・・。実際にはカッシングの奥様、ヘレンさんの死から一年も経たないうちの海外での撮影で、悲しみの余韻とホームシックとで気むずかしくなっていたらしい、ということです。奥様の闘病から死の間に20キロも痩せたという愛妻家ですし、もともと海外に出るのはあまり好きではなかったとか。
(しかしスペインに来てからこんなことを言い出すなんて。明らかに精神的に参って混乱していたんだと思いますが、プロデューサーの気持ちを考えるとかなりの「困ったちゃん」です…。が、今は「そんなとこもかわいい」とか萌えてしまう・・・(^ ^;))

すでに撮影を始めていたプロデューサーはショックを受け、一週間前から撮影に入っていたリーに大慌てで相談します。リーは「心配いらない。撮影後にホテルで会おう」と請け合って、カッシングを交えた三人で会うことに。

・・・リーは何をしたかというと・・・いきなり「カッシングを安心させるように計画された逸話」(どんなんだ?)を切れ目なくしゃべり続け、カッシングに「降りたい」などと切り出す隙を与えなかったんだそうです(笑)。一人でしゃべりまくったリーは「お休み」と場を切り上げ、「じゃあピーター、明日仕事場で会おう」とサラリと付け加えます。これで一件落着。(笑)

カッシングは一週間後にはすっかり陽気になり、プロデューサーに、「脚本も今では気に入っている」と告げて、気むずかしくなっていたことを謝った、とのことです。

ああ、それほど萌えないと思ってましたが、改めて読むと萌えますわ。やはり(笑)。(・・・)
だってこれ、やっぱりリーがいなかったら降りてますよね。絶対。ほかの部分からも、「リーがどっしりと支えてくれたから安心できた」というのがありありと伝わってきてたまりません。絶対気を変えさせられる、と自信満々のリーもいい♪(なんてイメージを裏切らない人たちなんだろう(笑))あらためてやおいなんかデッチ上げるのがバカバカしくなりますよ。まんま立派にJUNEじゃないか!(言いすぎ(^ ^;))

添えてある写真がまたいいです。撮影中の、二人の笑顔のツーショット。(激萌え♪)
『ホラー・エクスプレス』でのカッシングは、出演作の中でも群を抜くベッピンぶりをさらけ出しているのですが、その陰にそんなエピソードがあったと思うと・・・次にDVDを見返すときは冷静でいられなくなりそうです!(笑)

・・・こんなエピソードもてんこ盛り(?)で、日本語だったら徹夜で読み切ってしまいそうな本なんですが、英語なのがつくづく恨めしい。著者は英語教師だそうで、カッシングの自伝と比べるとはるかに読みやすい文章ではありますが。
(カッシングの自伝は、世代のせいか個性なのか、古い言い回しや文法が普通でない文章がけっこう出てくるので、自分の英語レベルでは「解読」にえらく時間がかかるんです…(^ ^;))
どこかで翻訳出してくれないかな。ほんとに!

ホラー映画関係の書籍というと、なぜか「日本のマニアさんが作品や撮影秘話を紹介・解説する」みたいな、ワンクッション置いたものが多いんですよね。それも『BSマンガ夜話』的なノリでは面白いんですが、情報に関してはどうしても孫引き感があるし、解説者の趣味のバイアスがかかってしまうんですよね。もっとこういう直接取材したものや、一時資料に近いものの翻訳書も出してほしい!・・・うーん、需要が少ないのはわかってるけど、日本語版Kindleが出て、本家並みに電子出版の敷居を下げてくれるとしたら、できるのでは!?(あ、翻訳書は別でしたっけ…?)


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Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema [書籍レビュー]


Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema: A Filmography of Their 22 Collaborations

今、同人漫画の絵コンテ修正をしているのですが、ちょっと行き詰まりを感じてへろへろになっていたところ、ふと拾い読みしたピーター・カッシングとクリストファー・リー共演作品の解説本、"Christopher Lee and Peter Cushing and Horror Cinema: A Filmography of Their 22 Collaborations"にあったエピソードでちょっと生き返ったので、ご紹介します。

『怪奇!血のしたたる家』(The House That Dripped Blood (1970))の監督、ピーター・ダッフェルの話なのですが・・・先日感想を書きましたが、この作品はホラーのオムニバスで、カッシングが出ている第二話は蝋人形の話です。で、その中に、主人公がうたた寝をして悪夢を見るシーンがあります。道具立てはチープなものの、夢のシーンなので幻想的で、とても印象的なシーンなのですが・・・じつはこのシーンは脚本にはなくて、監督が主人公の強迫観念を強調したいと思い、撮影が始まってから夜に自宅で考えて、翌日スケジュールにムリヤリねじ込んで、半日で撮影したというシーンだったんだそうです。(実物を見ないとなにがなんだかわからない話になっちゃいますね…スイマセン)

スモークの焚かれた蝋人形館の中を、主人公が手探りしながらスローモーションで歩き回る…という、今の目で見ると「いかにも」で、少し笑えるくらいのシーンであります。ですが、本の解説を読むと、これがこのあとの主人公の行動に説得力を持たせている、ということなんです。そう意識して見直して、「もしこれがなかったら…」と考えてみたらホントに大違いで、思わず唸ってしまいました。低予算映画なので画面のチープさにどうしても目が行ってしまってたのですが、この「主人公の強迫観念」を台詞なしのシーンに構成して見せてしまう、というのは、すごく「映画してる」感じがします。(一番お手軽なのは会話に説明を盛り込んでしまうことですが、それでは情報が伝わるだけであって、受け手の感覚には響かないですよね)

このエピソードの中で一番印象的だったシーンが、そんなふうに撮られたものだったなんて、衝撃でした。同時に、ものを作るプロセスってこういうことなんだな、と納得がいった感じで。「それまで存在してなかった思いつき」を殺さないで、実行してみることって大事だと。うまくいけばそのままいけるし、うまくいかないな、とわかれば削ればいい。その繰り返しなんだと。とにかく頭の中から出してやらないと。…我田引水ですが、いったんまとめてから新しい要素を思いついて崩してしまう、を繰り返している自分のプロセスも無駄じゃないかもしれないぞ…?と思えてきました。なにより今欲しかった励ましです。勘違いだってなんだっていい。とにかく、何事も「こんなこと虚しい」と思ってしまったら先へ進めません・・・いいタイミングで助けられました。自分がそういう状態で読んだから、こんなふうに感じるのでしょうね。

もう一つは、『ミイラの幽霊』(The Mummy (1959))のエピソード。『ハムナプトラ』の原型みたいな話で、カッシングがエジプト研究家を、クリストファー・リーが蘇ったミイラを演じました。(でもこれ自体もボリス・カーロフの映画のリメイクらしいんですが)エジプトのミイラが蘇って人を襲う・・・なんてとこからして、もうB級臭さプンプンなのですが・・・案の定、カッシングの妻役で出演したイボンヌ・フルノー「どうせ二級の作品」と高をくくって出たんだそうです。ところが、です。カッシングやリーが真剣に役を掘り下げているのを見て、見方を変えなくちゃ、と取り組み方が変化したんだそうです。
決して、イマドキのノリによくある「バカらしい行為にあえてエネルギーを注ぐ」っていうんじゃなくて、「キャラクターの心理や物語の流れに少しでも説得力を増すための工夫を、制約された中で真剣にやる」ということです。(真剣といってもガチガチした雰囲気じゃなくて、休憩時間他愛無いいたずらに興じたりしてるので微笑ましいんですけど(笑))
たしかにできあがった作品のストーリーはB級なのですが、妙な説得力というか、演技に密度があって、引き込まれるところがあるんですよね。

カッシングの出演作品はほとんどそんなのばっかり(^ ^;)なんですが、なんというか、さきほどの『・・・血のしたたる家』の監督の話といい・・・背筋を伸ばされる感じがしました。どんなジャンルでも、作り手が「どうせこの程度」と白けていたら、ホントにどうしようもない。今できることを探してベストを尽くすこと。これに尽きるんだな…。言葉のうえでは耳タコなことなので、別の状況で読んだらなんとも思わないはずの、ありふれたエピソードですけど。自分の状態によって受け取り方が変わるもんだな…と、つくづく。欠けているものにばかり目が行って落ち込みやすい自分には、このタイミングで読めたことが大事。がんばろう・・・。

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三十代のターキンに萌え [書籍レビュー]


スター・ウォーズ―ローグ・プラネット (Lucas books)

スターウォーズの小説版のうちの一つで、『ローグ・プラネット』というのを図書館で借りてみました。
「ターキンの出世物語ってスピンオフにあるのかなー」という興味で調べたら、これに出ているらしいので。…ジェダイ関連のところは飛ばして(スイマセン(^ ^;))探したところ、けっこう早いところで参上…というか、これ、ほとんどメインキャラの一人みたいな扱いでは?(わくわく♪)…なんと三十代のターキン。しかも最初からレイス・サイナーとかいう宇宙船製造会社社長のカップリングキャラとセットで出てくるという至れり尽くせり。二人とも「筋肉質の痩身」「細い眉と射抜くような緑の瞳」「貴族的な顔立ち」。そんでもって「十年来のつきあい」の旧友。(ということは学生時代同窓?金持ちの子弟→パブリック・スクール→『モーリス』と『アナザー・カントリー』の世界…→以下妄想出血大サービス(笑))
サイナーは密談の最中もターキンの「均整のとれた筋肉質の長躯」をジロジロ眺め、話がまとまると「まんまとターキンの気を引くことに成功したようだ」とほくそ笑む…

なんですかこれは!?
狙ってる?ねえ、もしかして狙ってる?(←違う)

…三十代のピーター・カッシングってそれほど「貴族的な」顔でもないので、やはり美しく年老いたお顔から逆算してイメージしてます。おお、素晴らしい。萌えます。脳内イメージをお見せできないのが残念です…。(←バカも極まれり)書いてるのがブラッド・ミュージックのグレッグ・ベアっていうのもオドロキでした。すでにオリジナルで名が知られてる作家さんがスピンオフを書くなんて…そういうイメージはなかったのですが。ちょっと得した気分。(?)

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