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『ゾンビ襲来』(1973) [DVDレビュー]

久しぶりに過去記事発掘でない感想文です。(笑)ピーター・カッシングクリストファー・リー共演の未見作のなかでもひときわ気になっていた一つ。偶然TSUTAYAの検索機で見つけて(まさかこんなものがレンタルになっていたとは!)、店頭にはなかったので取り寄せしてもらいました。ええと……ゾンビは出ません。(笑)たぶんこの時代ゾンビが流行っていたんでしょうね。原題はThe Creeping Flesh (這い回る肉)です。
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大ざっぱな印象をまとめると、古典風の兄弟葛藤劇をベースに、十九世紀イギリス大衆小説のあっちこっちのディテールと、二十世紀B級SFトンデモホラーの設定を混ぜて、ちょっと火にかけてみました!という感じ。いやもう、話盛りすぎっ!!(喜)この素材を「まじめに」撮ってくれてるのが貴重です!

カッシング鑑賞目線では、美老人的美貌絶頂期(当社比)の1973年作品。ほんとに、とんでもなく、信じられないほど美しいです!研究に夢中になってるレトロな科学者紳士ぶりやつれ顔嘆き演技泣きと追いつめらた恐怖の表情、軽い気狂いまで見られて大満足です。さらに雨でずぶ濡れにまでなってくださるサービスぶり!水もしたたる枯れ美老人、たまりません♪十九世紀末の話なので、鼻眼鏡ヴィクトリアンな衣装も素敵です。この方の役には珍しいノーフォーク・ジャケット(よくホームズのワトスンなんかが着ている、アウトドア系の上着)の姿が見られるのも貴重です♪

…前置きが長くなりました。(笑)おもな舞台になる年代は1893年、カッシングのお役は十九世紀の人類学者(と思われる)エマニュエル・ヒルダーン。(人類学…かな?「人類の起源」とかでっかいテーマを追いかけてるようです)
リーはなんと弟役!と本で読んでいたので、萌えまくりつつも「に、似てねえっ(^^;)」とツッコミいれてたんですが、異母兄弟という設定でした。それなら納得です。(笑)精神療養所なるものを経営しつつ(昔風に癲狂院、というほうが近いですかね。患者を牢屋みたいな部屋に閉じこめています)、研究もしているのですが、この研究が…患者を使って実験してるので精神疾患の原因究明、らしいのですが、なぜかフランケンシュタインばりやら心臓やらの人体パーツを水槽のなかで生かしているカットが入ります。つながり不明。(笑)当のリーの過去の役とオーバーラップして笑えます!

さて、お話は…エマニュエルがニューギニアで巨大な原始人の骨を発掘して帰国。この骨がとある条件下で肉が再生するというトンデモなプレデター(?)で、タイトルロールがこれにあたります。(なので、「いわゆるゾンビ」のイメージではないですね)
家では一人娘が留守を守っていますが、なぜか死んだ母の部屋には入れてもらえず、箱入り娘な生活をさせられています。母は死んだと聞かされていますが、じつはエマニュエルの妻は元踊り子で(ここでちょいと「なんでやねん!」感が(笑)。ありうるけどなんかとーとつで…いや、回想シーンを見るといろいろあったようです…)、弟の精神病院に収容されていたのです…。精神疾患が遺伝性だと思われていた時代で、エマニュエルは娘にそれが遺伝している可能性を恐れます。その思いが、あとでトンデモ原始人の研究につながるという力技!(よく考えるとなかなか練られた脚本です!無理矢理だけど!)

エマニュエルは偶然再生した原始人の肉から血液を採取し、その中にマックロクロスケみたいな細胞を発見。これが生物にとってのあらゆる「悪」(evil)の根元、というばかでっかい話になります。彼はこの発見を生かして人類を救済しようと思い立ちますが、はたしてその結末は…?!
(この「突然すぎる壮大設定」「原始人再生」テーマは、別のカッシング/リー共演作『ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急“地獄”行』をホーフツとさせますですね!思えばあちらは前年1972年の公開なので、続けざまに撮られた映画ですね)

一方、弟は兄の実績に嫉妬してる、という緊張感のある関係。リクター賞とやらを巡り、兄弟はライバルでもあります。兄への愛情はまったく感じられないものの、正気を失った兄の妻を病院で預かり、経済的にも兄を援助していたらしく、兄は弟に対して立場が弱いです。預かっていたエマニュエルの奥さんが死に、それを伝えるシーンもリーの目はひたすらクール。彼も自分の研究でマックロクロスケ(仮名)を発見しており、のちに兄の弱みを握って脅迫するまでに敵視するようになります。表面的には紳士なので敵役(?)としてはマイルドですが、兄弟だけに独特の確執萌えが!こんなシチュエーションをこのお二人で見られるなんて♪

惜しむらくは、タイトルロールのゾンビもどきのほうがメインなので、おいしい確執の扱いがいまいち小さいことです。これを前面に押し出して、兄弟の精神的葛藤をもっと描き込んだら一段と萌えたと思うんですが!お膳立てはできてるだけに惜しい!!とにかくクリストファー・リーの冷淡で硬質な弟カッシングのもろさが感じられる兄の対照がグーです☆

…精神病院からの患者脱走やらなにやら、めまぐるしくお話は転がります。今の目で見ると詰め込みすぎてなんじゃこりゃという感じですが、味わいとしてはディケンズの物語みたいなもの、と思えばそう浮いてもいないと思います。ただ、そこにB級SFホラーな要素が持ち込まれてるのが異質なだけで。

どこかで退屈って感想をみましたが、わかる気がします。ゾンビ出ないし、タイトルで手にとった人には「なんじゃこりゃ」で当然だと思います。(笑)でも個人的にはまったく退屈しませんでした!

『がい骨』(1965)に出てきたのとそっくりな、モンスター「目線」カメラでカッシングを追いつめてくれるのですが…監督が同じフレディ・フランシスでした。撮影監督としてアカデミー賞を獲った方で、ハマードキュメンタリーのインタビューでもビジュアルへのこだわりを語っていらっしゃった監督。コンナ題材ですが(笑)、ヴィクトリアンな内装と衣装、その色と配置で、絵のように美しいカットがたくさん見られました。さすがです。それと「原始人」の骨も、この時代の小道具としては上出来の部類だと思います。肉再生シーンの特撮も、今時のCGにはない味わいが。(でもカッシングが切断したモンスターの指を焼いてるとこは、フランクフルトを火であぶってるようでなんだかおいしそうでした…(笑))

エマニュエルの「死んだ妻」へのトラウマめいた哀惜は、カッシングが実生活で奥様を亡くされて間がない時期の作品であることを思うと、複雑なものがあります。自分が美しいと感じる「やつれ」はそのせいなんですよね…なんとも申し訳ない気持ちになります。でも本当に、この時期のカッシング丈は美しいとしか言いようがありません……。(もう少しお若い時は「かっこいい」とも言えるんですが、この時期以降はひたすら「美しく」見えてしまう(^^;))
娘役の方は細面で、頬骨の感じがカッシングにちょっと似ていて、もしピーター・カッシングにお子さんがいたらこんな美人だったかも、と思える雰囲気でした。

モンスター等を「まんま」では見せない編集だったら、もう少し印象を「大人向け」に仕上げられたんじゃないかな…なんて可能性も感じる作品でした。でもそうなると「B級ホラー」の味わいはなくなってしまうんですけどね……。(笑)
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セル版DVDは、検索してみたところ日本ではボックスのみだったようです。(クラシック・モンスターズ コレクション)こういうものは普通レンタルにはならないように思いますが、ツタヤ扱いがあってラッキーでした。未見でカッシングファン、もしくは美老人好きの方、機会があったらぜひ。 あの美しさは見て損はありません[黒ハート]


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